妊娠が発覚してから仕事の調整、産院選び、産休・育休の取得方法など調べることはたくさんありますよね。
そして公務員の場合、民間企業と異なる点が多々あるので産休・育休手当はちゃんともらえるのか、育休中の扶養手当はどうなるのか、ボーナスは出るのかなど気になるかと思います。
今回は私が産休・育休を取得する際に調べまくった経験から公務員が育休を取得した場合、扶養手当はどうなるのか、夫の扶養に入ることができるのかなどを解説したいと思います。
この記事を読めば産休・育休中の手当や扶養手当について知ることができますのでぜひ参考にしてください。
1、扶養手当とは
扶養手当とは企業の福利厚生の一つで扶養する家族がいる場合、給料とは別に毎月支給される手当のことです。
全ての企業で導入されているわけではないのですが、公務員には扶養手当を支給することが法律で定められています。
金額は配偶者、子ども、親族など誰を扶養に入れるかで異なります。
全国平均 | |
父母・配偶者、孫等 | 6,500円 |
子ども(0-15歳) | 10,000円 |
子ども(16-22歳) | 15,000円 |
この金額は適宜見直され、最近は配偶者の手当が減り、子どもの手当が増えている傾向にあります。
さらに公務員の場合、扶養手当はボーナスの査定にも影響するので扶養する人が多ければ多いほどボーナスが増えますのでありがたい手当ですね。
2、公務員が育休に入った場合、扶養手当は無くなっちゃうの?
今までもらえていた扶養手当、育休に入ってももらえるのか気になりますよね。
実は産休・育休に入る場合は今までもらえていた扶養手当は受け取れなくなります。
ただし、夫の会社に扶養手当の制度があるからそちらに移したいという場合は夫側の扶養に入れることができます。
しかも妻が復帰した際に戻すこともできるので「扶養手当を受け取れなくなった!」と、損をすることもありませんが、会社によって扶養手当が支給される規則が異なりますので夫の会社規則をきちんと確認するようにしてください。
3、公務員も育休中は夫の扶養に入って節税することが可能
実は仕事を辞めなくてもパートナー(ここでは夫とします)の扶養に一時的に加入することができるんです。
妻が夫の扶養に加入することで夫の住民税や所得税が控除され、節税することができます。
また、お子さんを保育園に預けているご家庭は控除された分、所得が減ったとみなされ保育料が安くなる可能性があります。
扶養に入ることはメリットしかありませんので、年末調整や確定申告で忘れないようにしましょう。
扶養に入るということは【所得税上の扶養】と【社会保険上の扶養】という2つの意味を指しています。
(1)所得税上の扶養
所得税上の扶養を配偶者控除と呼びます。
配偶者控除とは配偶者に一定の所得がなければ受けられる控除のことです。
配偶者控除を受けるためには以下5つの条件全てに該当する必要があります。
- 12月31日時点で夫婦であること(内縁関係は該当せず)
- 夫婦で生計を一緒にしていること
- 申告者の所得が1,000万円以下(給与収入のみの場合は年収1,220万円以下)
- 配偶者の年間合計所得金額が48万円以下(給与収入のみの場合は年収103万円以下)
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
出典:国税庁
具体的にいくら控除されるのか、どうやって申請するのかなど詳しいことは下記の記事にて説明しておりますので参考にしてください。
実は産休中は配偶者控除を受けられる|約9万円の節税ができた体験談
(2)社会保険(健康保険)上の扶養
産休・育休中であっても公務員の身分は変わりませんので夫の健康保険に加入することはできません。
健康保険は公務員でいう共済組合にあたります。
仮にパートナーの社会保険に入れたとしても産休・育休中は共済組合に毎月支払っていたお金は免除になるため入るメリットはありません。
4、公務員は出産手当金をもらえないがその代わり給料が満額でる
公務員は産休時に支給される出産手当金を受け取ることはできません。
なぜなら公務員は産休中の給料が満額支給されるからです。
出産手当金を受け取るには以下3つの条件に当てはまらなければなりません。
- 勤務先の健康保険に加入していること
- 妊娠4ヶ月(85日)以降の出産であること
- 出産のために休業しており、休業中に給与の支払いがないこと
*ただし、給与を受け取った場合でも出産手当金の日額よりも下回る場合は給与と手当金の差額が支給されます。
参考:厚生労働省委託 母性健康管理サイト
つまり公務員は産休中、給与を満額受け取るため出産手当金の受け取り対象外となるのです。
ただし産休中の給与はいつもとは内訳が異なります。
1つ目は満額といっても通勤手当、残業手当などの一部手当は換算されませんので人によってはいつも受け取る給与よりも減ってしまう可能性があるということ。
2つ目は産休育休中は共済掛金の支払いが免除されるということです。
以上のことから公務員は出産手当金をもらえないから損をするということにはならず、むしろ給与が満額もらえるため、とても守られている立場ということがお分かりいただけたかと思います。
5、公務員は育休手当は出るの?出るとしたらその金額は?
公務員の育休取得可能期間は出産してから子どもが3歳の誕生日を迎える前日までです。
そのうち育休手当が出るのは1歳までで、その後も育休を取得するのであれば無給になります。
ただし、民間企業と同じく下記4つの条件いずれかを満たすのであれば最大2年は育休を延長し、育休手当を受け取ることができます。
- 保育園に入園希望を出しているが落選してしまった
- 離婚などで子どもの養育者と別居になってしまった
- 子どもの養育予定者が死亡や怪我、病気などで養育することが難しくなってしまった
- 次の子どもを妊娠しており6週間(多胎児は14週間)以内に出産予定。もしくは産後8週間経過していない場合
ここで気をつけなければならないのは育休を最初から最大の2年まで延長することはできないという点です。
育休延長は子どもが1歳6ヶ月になっても状況が変わらないのであれば再度手続きをし、2歳までなら延長することができるというものなので注意してください。
6、公務員の産休・育休中のボーナスはどうなるのか
公務員のボーナス支給は6月と12月の年2回です。
そしてボーナスの支給条件はそれぞれの支給日から遡って半年の間に勤務実績があることです。
つまり半年以上、育休を取得するとボーナスを受け取ることができませんが、産休中は勤務日扱いとなるので査定期間内に産休がかぶっていたとしても査定に響くことはないので満額支給されます。
次に育休ですが、育休中は勤務日扱いとはなりません。
しかし例えば5月28-31日の3日間だけ勤務したということであれば3日分だけ査定の対象となり、減額されて支給されます。
7、育休中に妊娠した場合、繋げて産休・育休を取ることができるのか
育休中に妊娠した場合、そのまま産休・育休をとることができます。
ただし産休・育休を同時に取ることはできないので次の子の産休を取得→育休の流れになります。
前述した通り、産休中は給与満額もらうことができるので手当が一時的に増え、さらにボーナスもまたもらえるということになります。
ただし、公務員の給与が見直されている可能性もあるので前回と同じ金額がもらえるとは限りませんのでそこは調べる必要があります。
8、出産手当金は公務員を退職後でも受け取ることはできるの?
当初は仕事を続けるつもりでも何らかの事情で手当を受給する前に退職してしまう方もいらっしゃるかと思います。
その場合、出産手当金は受け取ることができないのかというと必ずしもそうではありません。
以下の条件に当てはまれば退職後も出産手当金を受け取ることができるのでご自身が受給できるかチェックしましょう◎
- 退職前、継続して1年以上共済組合に加入していた
- 退職日が出産手当金の受給期間内であった
- 退職日が産休中であったため労働をしていない
つまり、1年以上働いていて産休中に退職すれば出産手当金を受け取ることができます。
もしも有給を消化して辞める場合は産休にあたる日に食い込むように調整しましょう。
まとめ
公務員が育休を取得した場合、今までもらえていた扶養手当、ボーナス、育休延長など疑問に上がりやすいことについてまとめました。
産休・育休中は手元に入るお金が減ってしまうのではないかと心配になりますよね。
今回の記事でお金関係はどうなるのかご理解いただけたかと思います。
これから妊娠・出産をされる公務員の方の参考になりましたら幸いです。
また、家族が増えるタイミングで今加入されている保険の見直しを行うこともおすすめします。
保険は契約したら終了ではなく人生のターニングポイントである結婚、妊娠・出産、住居購入などのタイミングで見直すことが重要です。
なぜならその時々によってあなたに合った商品が異なるからです。